さんきゅうハウス仲間の想い出:第一話:澤村秀男さん
2023年 06月 09日
★念のために:以下の文章および同じタイトルで連載される「想い出話」の中身はいっせーの小説です。いわばノンフィクション・フィクション、つまり事実調査は未完了であり不十分ですし、公平性に欠ける所があります。でもこれだけは自信もっていえます。ぼくは彼らと出会えてよかった、勉強させてもらいました。それぞれがとても個性的で、プライドも堅持されてる人が多かった。澤村さん、さわちゃんは74歳で亡くなりましたが、つえじいこと松尾さんや享年同じの人が多いのには、何か理由があるのかもしれません。
路上歴は人それぞれのなかでさわちゃんらしさは、ひとを食ったいきざまでしょう。
現役の頃は市内の空き缶集めて売り上げで食っていたが、生保もらってさんきゅうハウスに住んでからは、その理由は何なんだろうかとみなさん不思議に感じていました。朝は4時から8時に起きる、こぐとぎーぎー音の出る整備してないチャリで空き缶回収に向かう。帰ってくるのは夕方でした。74歳で亡くなる直前まで同じパターンでした。生活上は必要性も必然性もない空き缶回収に、彼は何ゆえエネルギー投入し続けたのか?今も謎です。
ぼくが住む砂川町は立川市の北のはずれ、彼が住むハウスは南の端ですから、チャリでは往復3時間はみないと。なのに毎日毎日彼は何を考えながら動いていたのでしょうか?
事故には至りませんでしたが、トラブルもありました。玉川上水の千寿小橋南側で、彼のチャリが倒れました。たまたまぼくはその後ろを歩いていたので、駆けつけて2人でチャリを元に戻したのですが、重かったのなんの、後部座席には空き缶の袋が4つ!!重さにして何キロ?これはコナミスポーツに毎日通う以上の運動量ではないか?それをやりきったかれをおもいだすと、泣けてきます。さわちゃん、さんきゅうがあってよかったな、さんきゅうでであえてうれしいぜ。
帰ってくると、軍手のまま自販機をあけて飯をついだり、まだ未調理の肉を生で食おうとしたりしてよく寮長におこられてましたね。もーう・しょーがねーなーという感じかな。
あと、かれのへやは秘密の基地でしたね。なぜかどこかの高校野球部が甲子園に出場した時の旗が張ってある。あと寮の靴がよくなくなるのでかれのへやにあったということも。それでもかれは不思議な人気がありましたね。
むじなってのはみたことありませんが、さわちゃんを動物に例えれば、「むじな」または「きつね」かな?
あと、自称がいくつかあって、「鹿児島県の衆議院議員、洗濯屋の社長」だから、「おれは大沢市議よりえらいんだ」ともいってました。すましてそういいきるのでした。
なにしろ存在自体がおもろいのでした。だから人気があった。彼の葬儀にはたくさんの仲間が参列してくれはりました。恩房さんが釜から戻ってきた骨を骨壺に収めるときに、御皿にのこっていた縦1センチ横2センチくらいの網が忘れられません。ファーブルの昆虫記を思い出したりしました。
美しい声で森の中を散歩する人々をきもちようさせてくれていた鳥が死んで、解剖してみたら頭に腫瘍が見つかったという話しです。さわちゃんおつかれさま、たくさんの笑いをありがとね。安らかに眠ってください。

